サンライズ瀬戸を布教したいという話
サンライズ瀬戸って?
10年程前には日本にもたくさんの寝台列車が存在していました。
代表的な列車と言えば、トワイライト、北斗星、カシオペアなどなどです。
(あぁ乗ってみたかった....)
航空機による高速化や高速バスによる安価な移動手段が増え、寝台列車はその姿を徐々に減らしました。そんな最中の日本にもまだまだ元気な寝台列車が存在しています。
それが今回布教したいサンライズ瀬戸・出雲です。
("布教したい"と銘打っているのは多くの方に乗車してもらい、末永く存続してほしいという意図を含んでいます。本記事がサンライズに興味を持つきっかけとなり、乗車の促進となれば幸いです。)
サンライズ瀬戸・出雲はそれぞれ下記の区間を走っています。
下りは22:00に東京駅を発車し、翌6:27に岡山に到着した後は瀬戸・出雲それぞれの目的地へ向けて分割して発車していきます。高松には7:27、出雲市には9:58の到着です。
前置きはこれくらいにして、次項から乗車記(※本編)です。
余談ですが筆者は今回が初乗車です。
サンライズ瀬戸乗車記(1日目)
とある8月の土曜日。
20:42、東京駅9番線サンライズ瀬戸4号車乗車口。
サンライズ瀬戸・出雲にはそれぞれ2か所ずつシャワー室があり、シャワー室を利用するにはシャワーカードなるものを購入しなければなりません。
このシャワーカードを手に入れられるかどうかは非常に重要で、この後乗車するサンライズ瀬戸・出雲の車内での快適度に大きく影響します。(との口コミです。)
(サンライズ出雲に乗車する場合に限り、出雲市駅前の温泉に入って汗を流すという選択肢もあります。)
これを真に受けた筆者は、出発の1時間以上前からホームでスタンバっていました。
「張り切りすぎた誰もいねぇ....!!」(写真)
誰一人としていません。。。いるのは登山用ザックと駅弁を抱えた不審者(筆者)1匹のみ。(目の前を通り過ぎる特急や通勤電車の利用者の冷たい視線が妙に刺さる。)
しかし油断してシャワーカードを逃すワケにもいかないので、近くのベンチに腰掛け、ひたすらホームで待つのみです。買い込んだ駅弁と乗車券・寝台券越しに夜の東京駅の風景を眺める事、約40分。
21:32、来ました!!サンライズの案内が表示されました!!
これほど頼もしい案内表示があったでしょうか。いや無い。(反語)
21:35ごろ、サンライズがホームに入ってきした。本当なら入線してくるサンライズの姿を撮影したかったのですが、シャワーカードガチ勢の筆者、目もくれず4号車乗車口の案内表示の下に並びます。
ドアの前に立ち、開くのを待ちます。さながらゲート入りした競走馬のような気分です。
ホームに入線して1分ほど経ったあとアナウンスが流れ、ドアが開きました。
一目散に3号車のシャワーカード販売機に向かいます。(※この時点で筆者の背後には5名ほど並んでいました。)
シャワーカード販売機は3号車にあるのに4号車から乗車するのかコイツ。と思われるでしょう。これはシャワーカード販売機の設置場所が4号車よりの3号車にあるためで、3号車ドアから入った場合、車両一両分移動しなければなりません。4号車ドアから入ると車両間のドアを超えたら販売機はすぐそこです。
(※シャワーカードのために4号車から乗車する手法はサンライズ利用者の間では常識とされており、皆がこの手法を取ります。つまり3号車から4号車方向へ行列が伸びます。3号車ドアから乗車した場合、車両一両分に加えて逆方向へ延びた行列分も移動しなければならず、入手する上でとても不利になります。)
問題無くシャワーカードを入手し、これで快適なサンライズの乗車が確約されました。因みに筆者が購入した時点で3号車から4号車方向へ10名ほど並ばれていましたので、シャワーカードを買いたいと思われる方は東京駅発車前に購入されると良いでしょう。
(というか東京駅発車前でないと買えない気がします。)
そのまま本日のお宿であるシングル個室へ向かいます。
東京駅に停車するサンライズ。
(東京駅で四国の行き先表示見られるなんて....、うーんかっこいい。。。)
目的地は2Fです。階段を登り2Fへ向かいます。
こちらが本日のお宿、シングル個室(2階)です。
「何という秘密基地感......!!最高かよ!!!!」
煩くしてはならならいので心の中で絶叫し、荷物を下ろします。
気持ちを落ち着けて室内の様子を見渡します。内装は住宅メーカーの「ミサワホーム」が手掛けた事もあり、木目調の落ち着いたデザインで統一されています。さながらホテルのようです。スリッパ、浴衣、掛布団が用意されています。ベットマットは5㎝ほどの厚みがあり、固くもなく柔らかくも無い、という感触です。この写真に写っていませんが右側に鏡とコンセントが1口あります。
2階個室のため窓が上部へ湾曲しています。晴れた日には星空を眺める事が出来ます。
21:51、東京駅発車は22:00なので急いで先頭車両に向かいます。
目的は写真撮影です。(因みに筆者は鉄オタではありません。鉄道知識はあくまで「快適な旅行のための知識の1つ」と思っています。が、最近では電車に乗るために旅を計画したりしてまして、実は鉄オタなのかもしれません。。。)
ちょうど21:53東京発のときわと並ぶ姿を写真に収める事が出来ました。
(カッコいいですよねE657系、いつかこの車両にのって仙台に行ってみたい.....)
写真の右側に写るベージュと赤色の車両が今回乗車するサンライズです。
ツートンカラーで日の出のイメージした色合いをしています。歴代の寝台列車、特にブルートレインは真っ青な色で夜のイメージでした。真反対と言えます。
21:55、発車5分前になりました。写真撮影を終えてそそくさと車内に戻ります。
部屋に戻るついでに軽く車内探訪しつつ、シャワーカード販売機を確認してみる事にしました。
シングル個室1階。
ソロ個室。こちらは部屋の入口に1階2階に分かれる階段が設置されているタイプです。
4号車の通路です。ここにはシングルDXとサンライズツインの部屋があります。
3号車のシャワーカード販売機。既に満員御礼完売していました。。。
価格は330円です。
3号車には他にもミニラウンジ、自販機、シャワー室があります。
自販機は現金しか使えません、電子マネーユーザーは注意。
21:59、発車1分前になりました。部屋へ戻り、発車の時を待ちます。
22:00、ガタンっと車体が揺れ、東京駅を発車しました。東京の夜景が左から右へ流れていきます。発車して約1分ほど、有楽町駅を横目で見ていると車内チャイムが流れ、車掌さんから到着駅と到着時間が案内されます。当たり前ですが寝台列車なので到着時間は翌朝。この目的地の遠さと時間の長さが旅情を駆り立てます。
因みにこの時に流れるサンライズの車内チャイムですが、筆者は夜行列車の雰囲気に本当に合っていると思っていますので、 気になる方は「サンライズ 車内チャイム」で検索してみてください。このチャイムを聞きながら夜の車窓を眺めるだけで酒が飲めます。
22:07、雨が降ってきました。遠くでは稲光もしています。少々の不安を感じながら、それでも列車は速度を上げて夜の東京を駆け抜けていきます。
22:23、列車は定刻通りに横浜に着きました。
少なくもない乗客がホームで待っています。1分そこそこで横浜からの乗客を乗せ、サンライズは西へ向かって再び走り出しました。
横浜駅を過ぎると東京の都会的な夜景は次第に減っていき、住宅地のポツポツとした明りが目に入ってきます。ここらでそろそろアレの用意をします。
アレとは晩酌です。東京駅のホームでサンライズが来るのを待つ間から横目で見ていた旨そうな弁当をここで広げるのです。
それでは本日のお供をご紹介いたします。
実はこの黒ラベルとシウマイ弁当の組み合わせが大好物でして、東海道新幹線に乗る時は高頻度でこのセットを用意してから新幹線に乗り込んでいます。
そして鮭はらこ弁当は東京駅の駅弁屋「祭」で見つけてとてもおいしそうだったので買ってみました。
まずは鮭はらこ弁当から。
人生初ナマモノが入っている駅弁だったので、若干の不安はありましたが、蓋を開けてみて不安が吹き飛びました。容器いっぱいにイクラと鮭フレークが敷かれており、その上に焼き鮭とたくあんが載っています。とてもおいしそうです。
イクラの弾ける食感としっかりと味の付いたフレーク、そしてパーフェクトな焼き鮭。ご飯が進まないはずがありません。すかさずビールを一口流しこみます。
「最高かよ!!!!!!!!!」ここでも絶叫したかったのですが堪えます。
室内灯を消して車窓に流れる夜景と共に駅弁を楽しもうと思いつき、室内灯のスイッチを切ります。手元が全て見えなくなりました。.....暗くなり過ぎです。
何も見えませんので、観念して明りをつけて無心に駅弁を口に放り込みます。
22:45ごろ、次第にドアの向こうから車掌さんが検札をする声が近づいてきましたので、乗車券・寝台券を取り出し、検札を受けます。検札で呼ばれるときは「○○号室のお客様、寝台券を拝見いたします。」と言われるので自分の部屋番号を覚えておけば安心です。
検札中にふと気になったので車掌さんに質問してみます。
筆者「すみません、この車両には無料WiFiの設備はありますでしょうか?」
車掌さん「そういった設備は無いんですよね。」
だそうです。皆さまネット回線の準備をしてからご乗車ください。
よくよく考えたらサンライズは登場してから約20年、まぁまぁな車齢です。
WiFiが付いていると思っていた筆者が浅はかでした。。。
気を取り直して次の駅弁を広げます。
筆者大好きシウマイ弁当です。
お馴染みのシウマイにから揚げ、鮪照り焼き、筍煮、かまぼこ、卵焼き、昆布と紅生姜、杏が鎮座し日本一売れている駅弁の貫禄を受けます。シウマイに醤油とカラシを飾り付け、少し固めのご飯を共に頂きます。
食べ慣れた味とは分かりきっていますが美味い...!!圧倒的に美味い.......!!
唐揚げも鮪照り焼きも非常にご飯の進む味付けで、筍煮のアクセントも大変良いです。
酒、シウマイ、酒、唐揚げ、ご飯、酒。。。と楽しんでいるとあっと言う間になくなりました。少々食べ過ぎたかもしれませんが大変満足です。
23:20、晩酌を終えた筆者は窓に置いたシャワーカードを眺めながら、シャワーへ行くタイミングを悩むのでした。。。
すみません。書き始めてから気付いたのですが思ったよりも長文になってしまったので、前編後編に分割します。後編はなるべく早く書き上げようと思いますので、お待ちいただけると幸いです。
最後になりましたがここまでご覧頂きありがとうございました!!
サンライズに興味を持ってもらえたら嬉しい限りです。